新幹線のトリセツをご利用いただきありがとうございます。
今回は、新幹線と飛行機の4時間の壁についてのお話です。
「4時間の壁」とは、新幹線の所要時間が4時間を超えると、飛行機に客が流れるという法則のことです。
新幹線や飛行機で移動する地域によって、交通手段として新幹線の方を優先する人が多い場合と、飛行機の方を優先する場合があるのですね。
そこで、今回は日本の地域ごとに、新幹線と飛行機のシェア率、所要時間、料金を調べてみました。
あなたが行こうとしている地域では、新幹線と飛行機のどちらが良いか参考にしてもらえると嬉しいです。
それでは、詳しく見ていきましょう。
地域別の新幹線と飛行機の比較
飛行機は最寄りの空港間の所要時間、料金は飛行機、新幹線ともに通常期の指定席料金で比較しました。
ちなみに、飛行機は主に全日空、東海道・山陽新幹線は「のぞみ」の料金で計算しています。
一般的な目安として考えてください。
今回は、東海旅客鉄道株式会社アニュアルレポートを参考にしました。
北海道新幹線と飛行機から解説しますね。
北海道新幹線と飛行機
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 4 | 6 |
所要時間 | 4時間10分 | 1時間30分 |
料金 | 22,690円 | 33,200円 |
北海道新幹線は東京~新函館北斗間、飛行機は羽田~新千歳空港間の移動で調べてみました。
北海道の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線4割、飛行機が6割でした。
つまり、移動手段として飛行機の方が優位に立っています。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間30分。
一方で、新幹線を利用すると3倍近い4時間10分も長くかかってしまいます。
料金も、飛行機と新幹線の差が10,000円前後とあまり少ないのも、飛行機を選ぶ人が多い理由かもしれませんね。
東北新幹線と飛行機
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 8 | 2 |
所要時間 | 3時間10分 | 1時間20分 |
料金 | 17,350円 | 33,800円 |
東北新幹線は東京~新青森間、飛行機は羽田~青森空港間の移動で調べてみました。
東北地方の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線8割、飛行機が2割でした。
つまり、移動手段として新幹線の方が優位に立っています。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間20分。
一方で、新幹線を利用すると2倍以上の3時間10分もかかってしまいますが、新幹線を選ぶ人が多いのですね。
ただし、料金は飛行機よりも新幹線の方が半分の料金で移動できるのも、新幹線のシェアが多い理由なのでしょう。
北陸新幹線と飛行機
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 7 | 3 |
所要時間 | 3時間 | 1時間05分 |
料金 | 14,120円 | 23,200円 |
北陸新幹線は、東京~金沢間、飛行機は羽田~小松空港間の移動で調べてみました。
北陸地方の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線が7割、飛行機が3割でした。
つまり、移動手段として新幹線の方が優位に立っています。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間05分。
一方で、新幹線を利用すると3倍以上の3時間もかかってしまいますが、それでも新幹線を選ぶ人が多いのですね。
ただし、料金は飛行機よりも新幹線の方が10,000円ほど安くなります。
他には、以下の理由で新幹線を選ぶ人が多いようですね。
- 駅が都市部に直結
- 割引切符が豊富にある
- 保安検査がない
- 自由席が空いている
駅が都市部に直結しているのは、新幹線が有利になりますね。
また、お得な割引切符が多いのも新幹線の強みでしょう。
飛行機のように保安検査をする必要もないので、時間も短縮できます。
他には、自由席が空いていたり、新幹線の移動中の眺めも綺麗な点もポイントとなるようです。
上越新幹線と飛行機
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 10 | 0 |
所要時間 | 2時間10分 | 1時間5分 |
料金 | 10,570円 | 13,350円 |
上越新幹線は東京~新潟間、飛行機は羽田~新潟空港間の移動で調べてみました。
上越地方の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線がほぼ100%の割合でシェアを占めています。
つまり、移動手段として圧倒的に新幹線の方が優位に立っています。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間05分。
一方で、新幹線を利用しても2時間10分程度と、新幹線でも早く着くのですね。
また、新幹線と飛行機の料金を比較しても、3,000円程度しか変わりません。
このような理由から、新幹線を利用する人が圧倒的に多いと言えるのでしょう。
山形新幹線と飛行機
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 10 | 0 |
所要時間 | 2時間45分 | 1時間5分 |
料金 | 11,130円 | 18,700円 |
山形新幹線は東京~山形間、飛行機は羽田~山形空港間の移動で調べてみました。
山形方面への移動の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線がほぼ100%の割合でシェアを占めています。
つまり、移動手段として圧倒的に新幹線の方が優位に立っています。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間05分。
一方で、新幹線を利用しても2時間45分と、3倍近く新幹線の方が到着まで時間がかかります。
また、新幹線と飛行機の料金を比較すると、飛行機の方が8,000円程高くなります。
これだけを見ると、飛行機も有利かと思いますが、実は山形空港から都市部へは20kmほど離れています。
都市部へのアクセスの悪さが飛行機の不利につながっているようなのですね。
実際に、山形新幹線が開通してから、飛行機の利用者は4分の1以下に減っているという話もあります。
やはり、アクセスの良さというのは大きいのだと改めて感じました。
ちなみに、東京~新庄間でも新幹線のシェアがほぼ100%になります。
秋田新幹線と飛行機
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 5 | 5 |
所要時間 | 3時間50分 | 1時間10分 |
料金 | 17,800円 | 25,800円 |
秋田新幹線は東京~秋田間、飛行機は羽田~秋田空港間の移動で調べてみました。
秋田方面への移動の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、5:5とほぼ同じくらいとなっています。
つまり、移動手段として飛行機が健闘しているといえますね。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間10分。
一方で、新幹線を利用しても3時間50分と、4倍近くも新幹線の方が所要時間が長くなります。
「4時間の壁」に迫っているということですね!
また、新幹線と飛行機の料金を比較しても、8,000円ほどの差しかありません。
秋田空港から、秋田駅などの都市部までは電車で40分くらいかかります。
しかし、空港から電車での移動を考えても、飛行機の方が2倍近く早く着くのが飛行機を選ぶメリットと言えそうです。
東海道新幹線(東京~大阪間)
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 8 | 2 |
所要時間 | 2時間30分 | 1時間10分 |
料金 | 14,450円 | 14,450円 |
東海道新幹線で東京~新大阪間、飛行機は羽田~関西空港間の移動で調べてみました。
大阪方面への移動の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線が8割で飛行機が2割です。
つまり、移動手段として新幹線の方が優位に立っているといえますね。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間10分。
一方で、新幹線を利用しても2時間30分ですので、割と早く着くイメージですね。
また、新幹線と飛行機の料金を比較しても、ほとんど料金の差がありません。
新幹線で移動しても、新大阪駅は都市部にありますし、アクセスも良いです。
わざわざ飛行機を利用しなくても、新幹線で十分と考える人が多いのでしょう。
東海道・山陽新幹線(東京~広島間)
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 6 | 4 |
所要時間 | 3時間55分 | 1時間30分 |
料金 | 31,900円 | 19,080円 |
東海道・山陽新幹線で東京~広島間、飛行機は羽田~広島空港間の移動で調べてみました。
広島方面への移動の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線が6割で飛行機が4割です。
つまり、移動手段として新幹線の方がやや優位に立っているといえますね。
飛行機を利用した場合の所要時間は1時間30分。
一方で、新幹線を利用すると3時間55分と、「4時間の壁」の問題に迫っています。
また、新幹線と飛行機の料金を比較すると、10,000円ほど新幹線が安くなります。
広島空港から広島駅までは1時間ほどかかります。
ですが、それでも新幹線を利用するよりも1時間30分ほど時間を節約できるので、飛行機を選ぶ人も多いのでしょう。
東海道・山陽新幹線(東京~博多間)
内容 | 新幹線 | 飛行機 |
---|---|---|
シェア率 | 1 | 9 |
所要時間 | 5時間 | 2時間 |
料金 | 22,950円 | 39,200円 |
東海道・山陽新幹線で東京~博多間、飛行機は羽田~福岡空港間の移動で調べてみました。
博多方面への移動の場合、新幹線と飛行機のシェア率は、新幹線が1割で飛行機が9割です。
つまり、移動手段として飛行機の方が圧倒的に優位に立っているといえますね。
飛行機を利用した場合の所要時間は2時間。
一方で、新幹線を利用すると「のぞみ」号でも5時間と、「4時間の壁」を大幅に超えてしまっています。
また、新幹線と飛行機の料金を比較すると、16,000円ほど新幹線が安くなります。
しかし、福岡空港から都市部の福岡駅までのアクセスが5分程度と、空港からのアクセスの良さも飛行機を優位にさせている大きな理由のようですね。
多少お金がかかっても、時間には代えられないと、飛行機を選ぶ人が多いのでしょう。
続いて、飛行機が有利になる場合を解説します。
飛行機が有利になる場合
飛行機が有利な場合には、北海道新幹線の東京~新函館北斗間、東海道・山陽新幹線の東京~博多間がありましたね。
飛行機が有利になるには、以下の特徴が考えられます。
■飛行機が有利になる特徴
- 所要時間が4時間を超える
- 早めに飛行機に乗る予定が分かっている
- 空港からのアクセスが良い
飛行機が有利になるのは、所要時間が一番大きく関係しています。
北海道新幹線の東京~新函館北斗間、東海道・山陽新幹線の東京~博多間では、どちらも新幹線の所要時間が4時間を超えていますね。
また、新幹線の所要時間が、ぎりぎり4時間を切っている東京~秋田間と東京~広島間でも、シェア率から考えても飛行機が健闘しています。
やはり「4時間の壁」は存在するようです。
運賃や料金は、新幹線のほうが基本的に安いです。
しかし、新幹線同様に、飛行機にも早めに予約すると大幅に値下げされるサービスがありました。
ですから、早めに飛行機に乗り予定が分かっている人には、飛行機に乗るメリットが大きくなるでしょう。
北海道新幹線の東京~新函館北斗間では、「はやぶさ5号」「はやぶさ11号」「はやぶさ38号」の3本のみ所要時間が3時間58分で「4時間の壁」を破っています。
ですが、本数は限られているのですね。
さらに、新函駅館北斗の駅は都心から遠く、函館駅までは快速「はこだてライナー」で約15分かかります。
一方、函館空港から函館駅前まではバスで約20分ですが、その途中に湯の川温泉街が広がっているので、宿泊にはこちらのほうが有利です。
この違いがシェアの優劣の原因のひとつであると考えられます。
東京~博多間は新幹線が4時間を大幅に超えている上に、福岡空港が博多駅まで地下鉄で5分と近いため、空港からのアクセスが良いので、飛行機が圧倒しているのが現状です。
反対に、上記の特徴がない場合は、新幹線の方が有利と言えるのですね。
実際に、東京を起点と考えると、飛行機よりも新幹線の方が有利な場合が多いですからね。
それでは、東京以外を起点とした場合はどうなるでしょうか?
東京以外を起点とした場合
東京以外を起点とした場合も、新幹線の方が有利になることが多いです。
例えば、新大阪~博多間で考えてみましょう。
所要時間は、飛行機1時間20分に対して、新幹線2時間30分と1時間くらいしか差がありません。
また、運賃・料金は飛行機23,400円で、新幹線15,000円と、圧倒的な差でもありません。
さらに、京阪神、すなわち京都府・大阪府・兵庫県には、京都・新大阪・新神戸・西明石・姫路・相生と、新幹線の駅が6つも停車駅があり、アクセスが良いのです。
このような影響もあって、新大阪~博多間では、新幹線と飛行機のシェアが新幹線8割、飛行機2割と、東京を起点としたの場合とは完全に形勢が逆転しています。
ですから、所要時間に加えて、空港や駅の立地条件がシェア争いに深く関係していると考えられるのですね。
まとめ
新幹線と飛行機の4時間の壁の問題について、様々な地域で比較してきました。
今回紹介してきたように、新幹線が有利な地域、飛行機が有利な地域には、所要時間、料金、アクセスの良さなど、様々な要因が絡んでいます。
また、紹介した内容に加えて、運行頻度や座席の快適性、さらには利用客の好みなども影響します。
飛行機が苦手な人にとっては、いくら飛行機が有利な地域でも、新幹線を選ぶでしょう。
このように、人によっては、飛行機が有利な新幹線と飛行機のどちらを選ぶかの基準は異なってきます。
ただ、一般的な考えとして「4時間の壁」が存在することは確かだと言えるでしょう。
あなたが新幹線と飛行機のどちらかを選ぶ時に、この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。