新幹線のトリセツをご利用いただきありがとうございます。
今回は、新幹線の往復割引について、下記の内容を紹介したいと思います。
- 往復割引の特徴
- 往復割引切符の買い方
- 往復割引の注意点
- ちょっとお得な裏技
それでは、順番に解説していきますね。
まず、往復割引の特徴を見ていきましょう。
往復割引とは?
往復割引には、次のような特徴があります。
■特徴
- 乗車券のみ1割引
- 片道あたりの営業キロが601km以上のみ適用
- 行きと帰りで同一区間のみ適用
- 往復割引分を同時に購入する必要がある
- 乗車券の有効期間(購入後10日~18日)がある
- 払い戻し可能
特徴は全部で6つあります。
順番に見ていきましょう。
乗車券のみ1割引き
まず、往復割引では、乗車券のみが1割引きとなります。
特急料金、グリーン料金などは割引になりません。
片道あたりの営業キロが601km以上のみ適用
片道あたりの営業キロが601km以上の場合のみ適用されます。
例えば、東京~新大阪間は片道の営業キロが552.6キロのため、往復割引は適用されません。
ただし、東京をまたいで東海道新幹線と東北新幹線を乗り継ぐ場合、営業キロは通算されるので、乗車券が往復割引の対象となる可能性があります。
市販の時刻表やYAHOO!路線情報などで事前に調べておきましょう。
この場合も、特急料金などの割引は適用されません。
ちなみに、往復割引の適用基準が「601km以上」というやや中途半端な距離なのは、需要の多い東京~大阪・神戸間を対象から外して減収を防ぐためだとも言われています。
行きと帰りで同一区間のみ適用
行きと帰りで同じ区間を利用した時のみ適用されます。
ですから、行きは東京~広島、帰りは岡山~東京ですと適用されません。
往復割引分を同時に購入する必要がある
往復割引を適用するには、往復分の切符を同時に購入しなければなりません。
ですから、行きの切符だけ購入して、帰りの切符を後で買っても往復割引は適用になりませんので注意してください!
また、往復割引を受けるためには、原則として特急券と乗車券を別々に用意する必要があります。
別々に購入するのが面倒という人には、東海道・山陽新幹線がインターネットで提供している「スマートEX」「エクスプレス予約」には、「スマートEXサービス(往復割引)」という商品がおすすめです。
これならば、特急券と乗車券がセットになっています。
さらに、往復切符の有効期間が最大1箇月と長いのも魅力。
ただし、割引の適用条件そのものや割引率は変わりません。
ちなみに、「エクスプレス予約」の場合は、指定席特急料金を880円、グリーン料金を890円割り引く「e特急券」という乗車券を分離した商品があります。
ですから、これと別に往復割引乗車券を用意したほうが、さらに安くなります。
乗車券の有効期間がある
往復割引には乗車券の有効期間(10日~18日)があります。
有効期間の表はこちらをご覧ください。
片道営業キロ数 | 有効期間(往復) | 有効期間(片道) |
---|---|---|
~200km | 適用外 | 2日 |
~400km | 適用外 | 3日 |
~600km | 適用外 | 4日 |
~800km | 10日 | 5日 |
~1,000km | 12日 | 6日 |
~1,200km | 14日 | 7日 |
~1,400km | 16日 | 8日 |
~1,600km | 18日 | 9日 |
有効期間は、片道の営業キロ数が200kmごとに1日追加されます。
ちなみに、特急券の有効期間は当日のみです。
往復割引の有効期間については、下記の記事を参考にしてください。
→ 新幹線の往復割引切符の有効期間と気になる疑問を徹底解説!
払い戻し可能
往復割引では、払い戻しを受けることができます。
往復乗車券の払い戻しは、使用開始前なら片道乗車券と同じ220円の手数料だけで可能です。
使用開始後であっても、有効期間内で未使用区間が101km以上あれば、普通運賃でその区間を乗ったものとみなし、支払総額との差額プラス220円で払い戻すことができます。
払い戻しについて詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
→ 新幹線の払い戻しとは?手数料・手順・注意点など分かりやすく解説
続いて、往復割引の買い方の手順を解説しますね。
往復割引切符の買い方の手順
往復割引切符の買い方の手順はこちらになります。
- JRの駅窓口、または券売機に向かう
- 往復分の乗車券を購入する
このように、往復割引切符はカンタンに購入することができます。
まず、JR駅窓口のほか、長距離に対応した券売機に向かいましょう。
続いて、片道の営業キロが601キロ以上を同一ルートで往復するのを確認して、往路と復路の乗車券を同時に購入すれば割引が適用されます。
券売機では、「往復」のボタンを押し忘れるなどのミスをしてしまう恐れがあるので、注意してください!
慣れている人は券売機でも良いですが、初めての人はJRの駅窓口をおすすめします。
続いて、往復割引切符を利用する時の注意点を見ていきましょう。
往復割引切符の注意点
往復割引切符を購入する時は、早めに購入し過ぎて有効期間を無駄にしないように注意しましょう。
往復割引乗車券の有効期間は、片道601キロから800キロまでが10日間で、以降は200キロごとに2日間延びます。
国内の宿泊旅行に使うには十分な長さですが、早めに購入しすぎてしまうと、有効期間を無駄遣いしてしまいます。
ちなみに、指定席特急券を予約する場合には、その特急券と同じ日から有効になる往復割引乗車券を購入できるので、同時に買っておくのがおすすめです。
次に、往復割引切符を利用する時のちょっとした裏技を紹介します。
往復割引切符の条件を満たさない時の裏技
往復割引は、片道の営業キロが601キロ以上ある際合に最大限の効力を発揮するものです。
ただし、乗車区間が601キロより短い距離で、往復割引の条件を満たさない時にも活用できる裏技があります。
それが、乗車区間を伸ばして601キロ以上にし、往復割引切符を購入して途中下車する方法です。
乗車区間を伸ばしても、往復割引を利用した方がトータルすると安くなるのですね。
例えば、東京~新大阪間の営業キロは552.6km、東京~新神戸間は589.5kmであり、いずれも往復割引の適用条件である601kmには届きません。
この場合は、営業キロが612.3kmの東京~西明石区間の往復乗車券を購入するのです。
601~640kmの片道運賃は9,610円なので、これを1割引にして端数を切り捨てると8,640円、往復では17,280円となります。
東京~新大阪間の運賃は、片道8,750円で往復17,500円なので220円しか安くなりません。
ですが、東京~新神戸の運賃は、片道9,290円で往復18,580円なので1,300円安くなります。
特急料金のみを割り引く「エクスプレス予約」の「e特急券」と組み合わせれば、さらに効果が高まりますよ!
往復割引切符で途中下車する方法については、下記の記事も参考にしてください。
→ 新幹線の往復割引切符で途中下車する場合の注意点を分かりやすく解説
ただ、東京~神戸方面に乗車する時に、本当は西明石より手前に片道601キロを超える駅があるのに、なぜ西明石まで切符を買うのかと疑問に思う人もいるでしょう。
東京~神戸方面に乗車する場合の注意点
東京起点で601kmを超える在来線の最初の駅は垂水駅です。
しかし、垂水駅では往復割引は適用されません。
理由は、垂水駅が新幹線の「神戸市内」という切符の区間に含まれるからです。
新幹線の切符には、「東京都区内」、「神戸市内」という特別な切符があります。
東京都区内から神戸市内までの乗車券は、東京駅と神戸駅を基準に算出され、東京都区内と神戸市内のどの駅でも乗降(途中下車は不可)できる便利な制度です。
しかし、「神戸市内」という切符の区間に含まれるので、垂水駅も新神戸と同じ589.5キロが適用され、601キロを満たしません。
ただ、西明石は神戸市内の駅ではないため、「東京都区内」、「神戸市内」という特別な切符の制度は適用されません。
ですので、往復割引切符を利用することができるのですね!
東京~神戸方面に新幹線で行く場合は、垂水駅ではなく、西明石駅まで切符を買って往復割引を利用しましょう。
新幹線と在来線を乗り継ぐ場合
新幹線はもともと並行する在来線の輸送力を強化する目的で建設されたため、在来線と同一の駅間では在来線の営業キロを適用する決まりになっています。
例えば、東海道・山陽新幹線の東京~姫路間の実際のキロ数は601.3kmですが、運賃を決める営業キロは在来線と同じ644.3kmに設定されています。
ですから、東京~姫路間の行きで新幹線を利用し、帰りに在来線の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」に乗車しても、往復割引は適用されるということです。
ただし、乗車券は在来線でなく新幹線用のものを用意してください。
どちらも金額は同じですが、在来線の乗車券では新幹線の改札を通過できない場合があるためです。
ちなみに、新幹線用の乗車券で在来線に乗ることは、全く問題ありません。
注意点
しかし、この扱いには例外があります。
利用区間が新下関~博多間を含む場合には、新幹線と在来線で異なる運賃が適用されます。
これは、山陽新幹線の新大阪~博多の全区間がJR西日本に所属するのに対し、在来線の下関~博多間がJR九州に所属することによって生じるものです。
例えば、東京~博多間の移動で行きで新幹線を利用し、帰りに在来線を利用する場合、行きの運賃計算キロは1,179.3kmで13,820円、片道1割引で端数を切り捨てて12,430円になります。
帰りは13,820円にJR九州の博多―下関間79.0kmの加算額150円を加えた13,970円が片道1割引となり、12,570円です。合計は25,000円となります。